本みりん、みりん風調味料、みりんタイプ調味料の違いは?成分や調理効果に注目


和食に必須の調味料、その1つが「みりん」です。

みりんは大きく3種類に分けられ、「本みりん」、「みりん風調味料」、「みりんタイプ調味料」があります。

これらの違いは何か、知ることで料理スキル向上に役立ててください。

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本みりん、みりん風調味料、みりんタイプ調味料の違いはズバリ…!

What(何は)
 本みりんは

How(どのような)
 アルコールと糖分を多く含む酒類であり

What(何は)
 みりん風調味料は

How(どのような)
 糖分が多く、アルコールをほとんど含まない調味料で

What(何は)
 みりんタイプ調味料は

How(どのような)
 糖分、アルコール、塩分を多く含む調味料です。

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アルコールを筆頭とする「成分」が違う。それにより分類や調理効果も異なる


本みりん、みりん風調味料、みりんタイプ調味料、三者の主な違いはアルコールなどの成分です。

多量のアルコールが含まれる本みりんは、酒類に分類されます。

みりん風調味料のアルコール度数は1%未満なので、お酒には属しません。

本みりん同様にアルコール量の多いみりんタイプ調味料、“発酵調味料”とも呼ばれます。

アルコール度数は高いですが、塩分が多く飲用できないため、みりん風調味料と同じく酒類ではないのです。

このように、含まれる成分から分類が違うほか、調理効果にも差があります。

本みりん、みりん風、みりんタイプの違い

どれも“みりん”という名前がつく一方、様々な違いがある「本みりん」・「みりん風調味料」・「みりんタイプ調味料」。

何が違い、どう区別されるのか、その差を順に紹介します。

・アルコールや塩分など成分の違い

三者の主な違いは、含まれている“アルコール”の量です。

本みりんは15度未満のアルコールが含まれる酒類であり、酒税法では混成酒類に分類されます。

みりん風調味料のアルコール分は1%未満で、ほとんどないのと同じ。

アルコール度数の高いみりんタイプ調味料ですが、塩を加えて不可飲措置が取られているため、酒類として扱われません。

本みりんは調味料でありつつ、お酒としても扱われる食品。

他2種は、酒ではなく調味料としてのみ使われる食品となります。

・ 原材料と製造方法の違い


アルコール分を含む本みりんとみりんタイプ調味料は、もち米や米麹などを醸造して作られます。

発酵の過程で出るうまみ成分などが凝縮されるぶん、製造に時間がかかる商品です。

みりん風調味料は、糖類やうまみ調味料などを混ぜて作られたもの。

製造方法のシンプルさ故に、他2種よりも短期間で量産できます。

・価格の違い

酒類に属する本みりんには、酒税がかかります。

みりん風調味料にはアルコールがほとんどないので、当然酒税はナシ。

上述の通り、塩分多量で直接は飲めないみりんタイプ調味料。

このため酒類には属さず、酒税もかかりません。

酒税のぶん本みりんが高額で、それに比べると他2つは安く購入できます。

・調理効果の違い

成分の差から、調理効果も少しずつ異なる3種類のみりん。

大きな違いは、やはりアルコールの有無です。

アルコールの調理効果をみりん風調味料で得ることはできません。

本みりんのメリットを安価に得られるみりんタイプ調味料ですが、塩加減に注意して使う必要があります。

みりん系調味料の主な調理効果


繰り返しになりますが、三者それぞれの調理効果はアルコールを始めとする成分の影響で異なります。

その差も踏まえて、主な調理効果を具体的に見ていきましょう。

複数の糖分・うまみ成分による甘みやコク

砂糖のようなストレートな甘さと違い、食材を自然に甘くしてくれるのがみりんの特長。

中でもみりん風調味料は糖分が多い傾向にあるので、しっかりと甘みを出したい料理に適しています。

醸造し作られる本みりんやみりんタイプには、アミノ酸やペプチドといったうまみ成分が豊富。

これらうまみ成分が、料理に深い味わいを与えてくれるのです。

アルコールと糖分による煮崩れ防止効果


アルコールが含まれる本みりんやみりんタイプには、煮崩れを防ぐ効果があります。

食材の筋繊維崩壊を防止するため、煮込んでも形を保ってくれるのです。

この効果は、アルコールと糖分の相乗効果でより高まります。

アルコールと糖分がうまみを閉じ込める

肉汁などに含まれる、食材のうまみ。

その流出を防ぎ、閉じ込めたまま調理するのにも本みりんやみりんタイプが適しています。

アルコールが可溶性成分の流出を防いでくれるおかげです。

さらに、糖分がその働きをサポートしてくれますよ。

アルコールは味の浸透も促す


具材に味を染み込ませる効果が高いのは、アルコールを含む本みりんやみりんタイプです。

アルコールは低分子なため浸透しやすく、調味成分も一緒に染み込ませてくれます。

肉じゃがやおでんなどの煮物と相性抜群ですよ。

アルコールによる消臭、良い香りを高める効果

本みりんやみりんタイプに含まれるアルコールは、魚や肉の臭みを消してくれます。

アルコールは加熱中に蒸発しますが、その時に臭いの成分も連れていくのです。

製造過程で生まれる独特の香気も、食材へプラスに作用。

食欲をそそる嬉しい香りをかもし出してくれます。

糖分が照りやツヤを与え見た目を向上


複数の糖分を含んでいるみりん系の調味料、その働きによって料理の照りやツヤを演出します。

ぶりの照り焼き、鶏肉の照り煮など、視覚的な美味しさを出したいレシピにピッタリ。

より多く糖分を含むみりん風調味料なら、美しい照りツヤを手軽に引き出せるでしょう。

本みりんの抗酸化作用による劣化抑制効果

本みりんを使用することで、料理の酸化、つまり劣化を防ぐ効果が得られると報告されています。

抗酸化作用と呼ばれる働きで、特に本みりんを加熱するとその作用がより向上するとのこと。

本みりんを使って加熱調理すれば、料理がいたみにくくなるということですね。

・それぞれのみりんの使い分け

本みりんは、糖類とアルコールのメリットがしっかり得られる調味料。

煮物や焼き物など、加熱調理の多くに使用することで、甘みやうまみ、香りづけ、色合いの向上も期待できます。

みりん風調味料はアルコールがない分、熱を加えない料理に活用しやすいのが特長です。

和え物、マリネ、ドレッシングなどに甘みやコクを加えてくれるでしょう。

本みりんの特性を低価格で叶えてくれるのが、みりんタイプの利点。

塩分を多く含むため、加えたぶん他の塩みを控えるのがポイントとなります。

本みりんとは?定義・分類方法・特徴について | 本みりん研究所(参照2021.2.17)
酒税法 | e-Gov法令検索(参照2021.2.17)
本みりんを知る-みりんの種類 | 九重味淋株式会社(参照2021.2.17)
石崎,吉浜,平松,高橋(2006)「本みりんの抗酸化性について」PDF(参照2021.2.17)

和食マスターに不可欠?みりんに関する豆知識


基本となる違いや調理効果以外にも、みりんにまつわる知識を身につけましょう。

みりんの歴史、保管方法、代用品についてまとめました。

本みりんの起源や歴史

戦国時代には存在していた本みりん、その発祥となる説は主に2つです。

1つは、中国から伝来した「蜜淋(みいりん)」というお酒が起源説。

もう1つは、日本にあった「練酒」や「白酒」というお酒に焼酎を加え、腐敗を防止したものが始まりだったとう説。

どちらも甘さが特徴で、本みりんの持つ特性に当てはまります。

飲料として楽しまれていた本みりんは、江戸時代になると料理の調味料として活用されるように。

一般家庭に広く普及し始めたのは昭和に入ってからで、みりん風調味料やみりんタイプ調味料などの派生品も登場します。

みりんの保存方法は?


アルコールを多く含む本みりんとみりんタイプ調味料は、日当たりや高温多湿を避けた場所で保管します。

みりん風調味料は、アルコールがないぶん長期保存に向いていません

開封後は冷蔵庫で保管し、早めに使い切りましょう。

本みりんは冷蔵庫などの低温下に置きすぎると、糖分が結晶化するのでご注意を。

冷蔵庫ではなく、冷暗所で保管してください。

みりんがない!何で代用できる?

本みりんの代用として使えるのが、“清酒”と“砂糖”の組み合わせです。

清酒大さじ1に対し、砂糖小さじ1の割合で混ぜて作ります。

ポイントは、塩分を含まないお酒を使うこと。

料理酒だと塩分が含まれ、味付けに差が出てしまうので注意してください。

砂糖の代わりに“はちみつ”を混ぜても構いません。

はちみつの方がやや甘みが強いため、砂糖よりも若干少なめに混ぜると良いでしょう。

糖度が高いはちみつは、照りやツヤを出したい料理におすすめ。

清酒がない場合、辛味の少ない白ワインなどでも代用できます。

本みりんを知る-本みりんの歴史 | 九重味淋株式会社(参照2021.2.17)
みりんがない!そんなときは何で代用できる? | 食・料理 | オリーブオイルをひとまわし(参照2021.2.17)
「みりん」はアレで代用できる!目的別の代用法まとめ – macaroni(参照2021.2.17)
みりんの代用調味料でおいしい料理が作れる!これでもう買いに走らない – 【E・レシピ】料理のプロが作る簡単レシピ[1/1ページ](参照2021.2.17)

本みりん、みりん風、みりんタイプの違いはアルコールを始めとする成分や効果


アルコール量などの成分差から、分類や調理効果が違う「本みりん」、「みりん風調味料」、「みりんタイプ調味料」。

お酒に属する本みりんは酒税がかかるぶん高額ですが、糖類やアルコールの効果をしっかりと得られる調味料です。

アルコールがほぼないみりん風調味料は糖分が多く、甘みや照りツヤが欲しい料理、煮切りのいらない非加熱レシピ向き。

塩分で不可飲措置が取られているみりんタイプ調味料は、本みりんのメリットを安価に得られる一方、塩加減に注意が必要となります。

三者を上手に使い分ければ、料理の腕が上がるに違いありません。

出典
津田淑江(2009)「みりん」PDF(参照2021.2.17)
高倉,河辺,森田(2000)「本みりんの調理特性に関する研究(第1報) : 肉の可溶性成分の溶出抑制効果」PDF(参照2021.2.17)
森田日出男(1986)「みりんとその類似調味料」PDF(参照2021.2.17)
みりん・調味料についてのよくあるご質問|オエノングループ(参照2021.2.17)
本みりんの知識|全国味淋協会(参照2021.2.17)