犬や猫の健康に直結してくる「食事」の内容。
どちらも似たようなご飯を与えれば良いと思っているなら、それは間違いです。
犬と猫の食性にまつわるアレコレを知り、可愛いペットの健康を守りましょう。
犬と猫、食事の違いはズバリ…!
Which(どちらが)
犬は
What(何を)
様々な種類の食べ物を摂る
How(どのような)
雑食動物です。
Which(どちらが)
猫は
What(何を)
肉類のみを摂る
How(どのような)
肉食動物です。
Why(なぜ)
食性が違うため
必要とする栄養バランスも異なります。
犬は雑食で猫は肉食!食習慣の違いが必要な栄養の違いにも通ずる
基本的に犬は雑食、猫は肉食です。
食べるものが違うため、必要とする栄養素も異なります。
これらの要素はペットフードにも反映されていますから、それぞれ専用品を与えましょう。
犬の食事習性:肉食寄りの「雑食」
犬の祖先であるオオカミは、肉食中心の雑食だったと言われています。
それを受け継ぐ犬も雑食であり、人との暮らしの中で雑食化がより進みました。
猫に比べると臼歯が発達しており、腸管も長くなっています。
これらは犬の雑食性をあらわす特徴の1つです。
三大栄養素の必要比率が人間に似ていると言われますが、犬の方がタンパク質を多く要します。
猫の食事習性:今も昔も「肉食」
猫も人との暮らしが長い動物ですが、食習慣は肉食を維持してきました。
犬との大きな違いは、タウリンやビタミンAの生体内合成ができないこと。
そのため猫のペットフードは、これらの栄養を補給する重要な役目をもつのです。
肉食派なので、人や犬に比べて必要なタンパク質が多め。
食べ物を噛み砕く臼歯より、肉を切り裂くための犬歯が発達しています。
ワンニャン栄養学 | 第9回イヌとネコの食性の違い | RED HEART Web Site(参照2019.12.13)
犬と猫の食性 プレミアムフード通販 ペットダイニング(参照2019.12.13)
ペットフードについて!犬猫の共通項と違いを知ろう
家庭で飼育する場合、犬と猫の食事は「ペットフード」が一般的。
共通事項として知っておくべきことと、犬と猫のフードで違う点を紹介します。
フードは主に4種類ある
犬と猫のペットフードは、商品ごとに種類が異なります。
大きく分けると4種類あるので、それぞれの特徴を知っておきましょう。
・ 総合栄養食
犬と猫の主食となるペットフードです。
総合栄養食と水を与えれば、それぞれの動物に必要な成分がバランスよくとれるよう作られています。
基本的な食事は、総合栄養食に属する製品から選択しましょう。
・ 間食
人間で言うと、おやつにあたる種類です。
コミュニケーションとしての役割や、しつけの際のご褒美などにも使えます。
栄養摂取のメインは総合栄養食なので、間食の与えすぎには注意してください。
・ 療法食
獣医師の指導のもと、治療をサポートする目的で用いられる食事です。
個体の病状や治療内容に合わせて作られます。
与える際は自己流で量を変えたりせず、必ず獣医師の指示に従いましょう。
・ その他
おかずや栄養補助食品など、上記3種類以外のペットフードもあります。
ペットの嗜好に合わせたり、栄養の補完といった使い方ができるでしょう。
いずれの場合も、総合栄養食とのバランスに配慮してください。
ライフステージごとに適した商品がある
母乳やミルク、次に離乳食…と、人は成長過程によって食事が変わりますよね。
これは犬と猫も同じ。
ライフステージに合わせた食品を与えることで、適切な栄養補給が可能となるのです。
・ 哺乳期用
親犬、親猫の代わりに与える、粉や液のミルクのこと。
生後4週間前後までが目安となります。
・幼犬/幼猫期、成長期用
生後8週間〜1歳くらいまでに用いる、幼時期向けのペットフードです。
消化吸収の良い離乳食タイプ、成長に必要な栄養を強化したものが一般的。
個体の大きさによって食べる期間が異なります。
・成犬/成猫期、維持期用
1歳以上の成犬や成猫に適した、最も長期間食べるであろうペットフードです。
それぞれの個体に合った商品や量をチョイスしましょう。
維持期食の中には、老犬・老猫向けのフードもあります。
犬も猫も個体差に応じた適正品を与える
犬と猫に必要な栄養素は、成長段階や健康状態によって異なります。
ペットフードに種類があるのもそのためで、個体の状況に応じた食事選びが求められるのです。
大型、中型、小型など、体格差にも配慮を。
さらに猫には体内で作られない成分があるなど、食事から得るべき栄養も違います。
各フードにはそうした要素が反映されているため、必ず個体ごとに適切な商品を選ぶようにしてください。
犬と猫、各フードの与え方
犬と猫は、人間とは異なる食事のリズムを持っています。
適当に与えると、肥満といった生活習慣病の元になる恐れも。
それぞれの基本的な与え方を知っておきましょう。
摂取量については、いずれも製品ごとの目安を守るようにしてください。
・ 犬は1日に与える回数を決める
犬の胃は猫に比べて大きく、1回でたくさんの量を食べられます。
あげた分を目一杯食べる傾向にあるため、1度に大量のフードを与えるのはNG。
1日に必要な摂取量を数回に分けて食べさせるのが理想です。
・ 猫は少量ずつを頻繁に食べる
時間に関係なく食事をする猫、1日に少量ずつ食べる習性があります。
2〜3回ほどに分けて与えるか、置き餌をしておけば猫が好きなタイミングで食べられますね。
置いておく場合は、腐敗しにくいドライタイプのフードを使うこと。
ドライフートでも長時間置きすぎず、食べ残しはすぐ片付けるなど衛生状態に気を配ってください。
犬と猫に必要な栄養素とは? | わおん/ペット共生型福祉施設(参照2019.12.13)
ペットフードの種類|一般社団法人ペットフード協会(参照2019.12.13)
犬とヒトの関係~犬は肉食?雑食?~|犬の生態と習性|教えて犬ノート 犬のお悩みスッキリ解決!(参照2019.12.13)
飼い主なら必見!犬と猫の食事にまつわる疑問
ペットの食事に関する素朴な疑問を解決しておきましょう。
犬も猫も両方欲しい!と思っているなら、特に要チェックです。
犬用のペットフードを猫にあげても良い?逆は?
犬と猫では、体作りの基礎となる3大栄養素の必要比率が異なります。
先述の通り、猫にはタウリンなど体外からの補給が不可欠な成分も。
ドッグフードには犬に適した成分が配合され、キャットフードも猫にとってバランスの良い栄養がとれるよう作られているのです。
どちらも人気のペットであるのは共通ですが、動物としては違う生き物。
ペットフードの代替えや交換はせず、必ず専用品を与えましょう。
手作りの食事を与えても良い?
飼い主が作ったペットフードを与えるケースもあります。
作りたての新鮮な食事を与えられる、栄養状態を把握しやすい、食べた物がきちんとわかる安心感など、様々なメリットがある手作りフード。
一方で、栄養バランスがとれているか、保存状態は適切か、犬猫に不向きな材料を使っていないかなど、細かい点まで配慮しなくてはなりません。
栄養学やレシピに関する正しい知識がない場合、無理に作るのは避けましょう。
犬と猫に好き嫌いはあるの?
犬や猫は、食事の味よりも匂いによって美味しさを判断します。
人間より嗅覚が優れているのも、匂いを重視する要因でしょう。
舌には味を感知する“味蕾(みらい)”がついていますが、犬は人間の5分の1程度、猫はそれ以下の味蕾しかありません。
人間より遥かに味覚が鈍感なのは、味蕾の少なさが影響しているのです。
・ 犬は甘味を感知しやすい?
塩味や酸味などの味覚のうち、犬が感知しやすいのは「甘味」だと言われています。
そのため人用のお菓子を与えると、その味を覚えてしまう恐れが。
習慣化による肥満の懸念もあるので、甘味の強い食事の与えすぎに気をつけましょう。
・ 猫は酸味や苦味に敏感?
甘味をほとんど感じないと考えられている猫、反して酸味や苦味には敏感です。
自然界の食べ物においては、強い酸味や苦味が腐敗や毒性を示すケースがあります。
単独で行動する猫にとって、こうした味覚は一匹で生き抜くために必要な能力だったのかもしれません。
犬がキャットフードを食べても大丈夫? | 愛犬との暮らしサポートQ&A | 日清ペットフード(参照2019.12.13)
犬と猫の「おいしさ」は人とは違う | 犬と猫の栄養成分辞典(参照2019.12.13)
手作りドッグフードの作り方と注意点 | ピントル(参照2019.12.13)
犬の手作り食のすすめ-1│沢村獣医科病院│千葉県東金市の動物病院(参照2019.12.13)
犬と猫は食性も必要な栄養も違う!個体差にも配慮した食事管理を
雑食性の犬と肉食性の猫、両者が必要とする栄養バランスは異なります。
それぞれのペットフードには、動物ごとに適した栄養が摂取できるよう作られているのです。
食べ方や味覚の特徴が違うのも、犬と猫に見られる差。
ペットフードを選ぶ際は、個体ごとの適性にも配慮しましょう。
出典
環境省(2009)「飼い主のためのペットフード・ガイドライン〜犬・猫の健康を守るために〜」(参照2019.12.13)PDF
古瀬(2018)「栄養学からイヌ・ネコのサプリメントを考える」(参照2019.12.13)PDF
ペットフードの種類は?|ペットフードについて|教えて犬ノート 犬のお悩みスッキリ解決!(参照2019.12.13)