「滅菌・殺菌・除菌・抗菌・消毒」の違いは?菌・ウイルス対策に役立つ豆知識


菌やウイルスに敏感な世の中、効果的に対処するには言葉の意味を知る必要があります。

「滅菌・殺菌・除菌・抗菌・消毒」の違いを理解し、日常生活に役立ててください。

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「滅菌・殺菌・除菌・抗菌・消毒」の違いはズバリ…!

What(何は)
 滅菌は

How(どのような)
 全ての微生物を殺滅、除去することで

What(何は)
 殺菌は

How(どのような)
 程度を問わず菌やウイルスを殺すことで

What(何は)
 除菌は

How(どのような)
 生菌を取り除くことで

What(何は)
 抗菌は

How(どのような)
 細菌の増殖を防ぐことで

What(何は)
 消毒は

How(どのような)
 有害な微生物の殺滅、除去、または無毒化することです。

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それぞれ効果の範囲や程度が違う。製品により使える言葉が限定されることも


滅菌、殺菌、除菌、抗菌、消毒、それぞれ言葉は定義や意味が微妙に異なります。

主に効果の対象やその程度、範囲の差によって、言葉を使い分けているのです。

製品の種類によっては、特定の言葉を使用できないケースもあります。

滅菌とは:全ての微生物を100万分の1以下に殺滅・除去すること

第十七改正日本薬局方による「滅菌」の定義は、“物質中の全ての微生物を殺滅又は除去することをいう”とされています。

対象の菌・ウイルスの生存確率が100万分の1以下になることが、1つの目安です。

主に医療器具などに対して使う言葉で、すでに滅菌されている物を呼ぶ場合も多いでしょう。

似た言葉の中では、最大級の威力として表現されます。

厚生労働省(2016)「第十七改正日本薬局方」PDF(引用・参照2021.3.11)

殺菌とは:効果の程度を問わず、菌やウイルスを殺すこと


菌やウイルスを殺す、という意味で用いられる「殺菌」。

滅菌と大きく異なるのは、殺す菌やウイルスの量、範囲を問わないことです。

100ある菌のうち50殺しても殺菌、10殺しても殺菌と表現できます。

字面から作用の強いイメージもありますが、実は決まった効果を保証する言葉ではありません。

除菌とは:対象から生菌を取り除くこと

対象物から生きた菌を取り除き、減らすのが「除菌」です。

洗濯用・台所用・住宅用合成洗剤又は石けんには、洗剤・石けん公正取引協議会が設けた“除菌基準”があります。

除菌基準とは、黄色ブドウ球菌、大腸菌の2菌種に対し、生菌数を減らす効果が一定以上認められるもの。

除菌効果を得るのに条件が必要な場合もあるので、製品ごとに使用方法を確認しましょう。

洗剤・石けん公正取引協議会(2006)「「洗剤の除菌表示」に関する公正競争規約、施行規則及び解説」PDF(参照2021.3.11)

抗菌とは:細菌の増殖を防ぐこと


「抗菌」とは、菌の増殖を防ぐことを意味します。

菌を殺す・減らす作用はなく、対象は細菌のみ。

すでにその作用をもたらした製品に使われるのも特徴です。

“抗菌仕様”や“抗菌加工”などの表示が一例ですね。

消毒とは:有害な微生物を死滅、除去、無害化すること

滅菌と同じく、薬局方にて定義が示されている「消毒」。

病原菌など有害な微生物を除去,死滅,無害化すること”とあります。

滅菌や殺菌との明確な違いは、菌を殺滅する効果以外にも使える点。

菌が存在していても、その数や活性が失われていれば、消毒できていることになります。

厚生労働省(2016)「第十七改正日本薬局方」PDF(参照2021.3.11)

医薬品・医薬部外品に限定される言葉は?


上記のうち、「滅菌」「殺菌」「消毒」は、医薬品・医薬部外品にのみ使用できる言葉です。

医薬品とは、人や動物の疾病の診断や治療、予防を目的とした製品であり、身体に影響を及ぼすもの。

主に諸症状の防止に使われる医薬部外品は、人体への影響が緩和なものにとどまります。

効果の違いは、治す・改善する効果を有すのが医薬品。

医薬部外品は医薬品よりも穏やかに作用し、それ以上の悪化を食い止めるものと言えるでしょう。

“薬用”という言葉がついている製品は、医薬部外品を指します。

雑品にあたる製品には「除菌」「抗菌」を使用

「除菌」と「抗菌」は、医薬品・医薬部外品以外の雑品に使用されます。

薬機法の範疇外となりますが、除菌効果は上述した“除菌基準”が目安の1つとなるでしょう。

抗菌に関しては、一般社団法人 繊維評価技術協議会による“SEK”と、一般社団法人 抗菌製品技術協議会の定める“SIAA”の各マークが保証の基準になります。

SEKは、衣類などの繊維製品に対して。

SIAAは、台所用品や家電といった非繊維製品に、一定の抗菌効果が認められることを示すマークです。

医薬品と医薬部外品、雑品の使い分けや選び方


殺菌や消毒の効果がうたわれる「医薬品」「医薬部外品」と、除菌・抗菌に役立つ「雑品」。

前者は薬機法にて、安全性や品質が厳しく管理・保証されています。

そのため直接身体に使うものに関しては、医薬品や医薬部外品が推奨されるでしょう。

いずれの製品でも、前提として自分の体にあったものを使うことが重要です。

特に医薬品・医薬部外品は、医師や薬剤師の指導に従い、用法用量を守って使用してください。

SIAAマークとは│SIAA(抗菌製品技術協議会)は、抗菌/防カビに関するマークを認証している業界団体です。(参照2021.3.11)
一般財団法人ニッセンケン品質評価センター・業務本部 西村航のコラム/SEKマークとSIAAマークの違いについて | 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター(参照2021.3.11)
佐々木,棚元,菊池(2016)「新GMP微生物試験法」PDF(参照2021.3.11)
芝崎勲(1984)「殺菌,静菌,除菌などの用語解説」PDF(参照2021.3.11)
山口,高山(2017)「消毒薬,その実践と基礎知識」PDF(参照2021.3.11)
日本医師会(1999)「日医雑誌122巻10号 消毒方法 消毒・滅菌の概要」PDF(参照2021.3.11)
「除菌」「抗菌」「殺菌」とは?違いをわかりやすく解説 | Ag+のチカラで持続除菌 | 富士フイルム(参照2021.3.11)
殺菌・除菌・抗菌・滅菌 何が違う?どれが強力? – ウェザーニュース(参照2021.3.11)

効果的な菌・ウイルス対策をおさらい!手指に荒れ予防も

菌やウイルスへの対策が当たり前になった昨今、今一度基本的な手段を確認しましょう。

手指が乾燥しやすくなった……という方は、その予防方法も必見です。

基本はやっぱりコレ!「手洗い」

すっかりニューノーマルになった基本対策「手洗い」。

石けんはしっかり泡立て、爪や指と指の間、手首もしっかりと洗いましょう。

泡で出てくるハンドソープを使えば、泡立てる一手間が減りますよ。

洗い終わったら、洗剤が残らないように流水で十分すすいでください。

手指に付着したウイルスは、流水で15秒洗うだけでも100分の1に減少。

石けんやハンドソープで10秒洗った後15秒間すすぐと、10,000分の1にまで減らせるのです。

手洗いによる過乾燥を防ぐには


手洗いの重要性はわかっていても、繰り返していると手指が荒れやすくなるもの。

菌・ウイルス対策と、手指の乾燥防止を両立するために、以下のポイントをおさえておきましょう。

・保湿を徹底的に!

乾燥を防ぐ対策は、やはり保湿です。

洗い終わったら、その都度ハンドクリームをしっかりと塗り込む。

水仕事にはゴム手袋を活用するなど、手洗い以外の場では保湿成分の流出を防ぎましょう。

・洗い方や拭き方にも注意点が


熱いお湯で洗うと、肌の潤いが失われやくなります。

手洗いは水で行うほか、寒い時期であってもぬるま湯にとどめましょう。

すすぎ後のタオルドライは、強くゴシゴシと拭かないこと。

摩擦は乾燥を促すNG要因なので、優しく押し当てて拭いてください。

・洗剤の使い分けで上手に予防

帰宅時には薬用成分の入った石けんで、菌・ウイルス対策を強化。

お家時間が長い時は、肌に優しい洗剤を使用する。

同じ手洗いでも製品の使い分けをすることで、肌への負担を軽減させられるでしょう。

「熱水」での対策は耐熱性の小物類向け


消毒薬やアルコールスプレーを使わず、菌・ウイルス対策ができる「熱水」。

80度の熱湯に対象物を10分間さらし、ウイルスを死滅させます。

熱水を使う方法は、人体にはもちろん、大きなものや熱に弱いものにも使用できません。

お箸やコップなどの食器類、乳幼児の哺乳瓶や玩具など、薬剤が心配なものに対しては有効でしょう。

対象に耐熱性があるかを確認するほか、やけどにも注意して行ってください。

新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について|厚生労働省(参照2021.3.11)
頻繁に消毒、手荒れ注意 専門家に聞くケアのポイント|NIKKEI STYLE(参照2021.3.11)
手洗い・アルコール消毒で手荒れや乾燥する方は必見! 正しいハンドケア方法: COLUMN-Maison KOSÉ(参照2021.3.11)

「滅菌・殺菌・除菌・抗菌・消毒」はそれぞれ効果が違う!製品選びの際は目安に


「滅菌」「殺菌」「除菌」「抗菌」「消毒」の違いは、その定義にあります。

言葉によって、効果とその程度、対象には差があるのです。

「滅菌」「殺菌」「消毒」は医薬品・医薬部外品のみに、「除菌」「抗菌」はそれ以外の雑品に使われる言葉。

違いを理解することで商品選択に役立て、菌・ウイルス予防を強化しましょう。

出典
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 | e-Gov法令検索(参照2021.3.11)
日本石鹸洗剤工業会 石けん洗剤知識(参照2021.3.11)