成人女性にとって、「人前での化粧はマナー」とも言われます。
なぜ女性だけが?と疑問に思うはず。
一般的な「化粧といえば女性」という概念と、男性と化粧との関係を紐解いてみましょう。
なぜ「化粧といえば女性」になったのか、理由はズバリ…!
What(何が)
化粧文化は
Who(誰が)
男女ともにありましたが
When(いつ)
明治時代の頃に
Why(なぜ)
戦争や富国強兵などの影響から
How(どのように)
男女の社会的役割が分けられ
男性はしなくなり、女性だけに化粧の習慣が残りました。
化粧に対する男女の差は明治時代にできた社会的役割の影響が大きい?
化粧は女性がするもので、男性はしない。
この一般概念は、歴史上の社会的役割が深く関係すると考えられます。
戦時下の男性は労役や軍事力を担い、化粧で美を磨く必要性は失くなりました。
女性は性別的な役割や地位格差から、男性に外見美を求められる立場にあったため、化粧の習慣が残ったのです。
当時の風潮から今に至りますが、現代は男性の化粧も浸透しつつあります。
江戸時代までは男女ともに化粧文化があった
“化粧は女性のもの”というのは、歴史的に見ると若い文化です。
江戸時代までは男女ともに化粧の習慣があり、男性も眉化粧やおしろいを施していました。
男性にとって当時の化粧は、“美しさ”が主な目的ではありません。
権威の象徴や武士のたしなみであった、という見方が有力です。
明治時代の「富国強兵」で男化粧は廃れた?
明治時代の日本は近代化推進のため、国の富みと軍事力を強化する「富国強兵」を掲げました。
兵力の筆頭である男性は、外見を繕う重要性が薄れ化粧とは無縁に。
女性の役割は家事や育児、軍需産業が中心で、化粧をすることもその中に含まれたのです。
これが合理的なジェンダーロールと認識され、“男は化粧をしない・女性はする”という社会通念が広まりました。
・男女の地位も化粧に影響
特に戦争中は男性の地位が上がり、女性の地位は低くなるのが世界的傾向です。
女性が男性に選ばれる立場と言え、選択肢に入るためには外見美を磨く必要性があったと推測されます。
当時の性差による地位格差も、化粧をする・しないに影響を与えたでしょう。
石田かおり(2007)「わが国における化粧の社会的意味の変化について――化粧教育のための現象学的試論――」(参照2020.2.12)PDF
男性はなぜ普段化粧をしないのか 日本の歴史に見る美意識の変化 – ライブドアニュース(参照2020.2.12)
化粧の文化史 | 日本化粧品工業連合会(参照2020.2.12)
現代の化粧事情。成人女性にとってはマナー?
メンズコスメの普及と需要の拡大により、化粧やスキンケアは女性限定のものではなくなりました。
一方で、まだまだ「化粧といえば女性」という認識が多いのも事実でしょう。
特に成人女性にとっては、最低限の化粧はマナーと言われるほど不可欠な要素に。
男性に女性レベルの化粧を求める風潮はないものの、匂いや衛生面でのエチケットは重要視されます。
海外と日本の化粧事情の違い
ナチュラルな化粧を好む傾向にある日本人。
メイクよりスキンケアに手間をかけ、素肌美が重視されます。
好きでやっている人もいますが、マナーだから……という意識も高いのではないでしょうか。
欧米では、日本ほどスキンケアに手間暇をかけることは少ないそう。
シミやソバカスはコンシーラーで対処し、日焼けを極端に避けることもあまりありません。
セクシーなメイクが好まれ、鮮やかな色合いやラメ入りのアイテムが人気です。
一方で、すっぴんでも平気という人もいるなど、自由選択という印象もあります。
アメリカと日本のメイクアップの違い – SEKAI STORY(参照2020.2.12)
日本と海外で支持されるメイクの違い | 大阪で美容学校をお探しなら(参照2020.2.12)
欧米人は洗顔しない!?こんなに違う「スキンケア」事情 | 大手小町(参照2020.2.12)
◆【メンズ美容市場調査・16歳~59歳男性750名対象】男性は加齢に伴い“若見え”に自信/30代(46.7%)40代(49.4%)50代(49.5%)の各世代半数が「実年齢より自分は若く見える」と回答|ゴリラクリニック(医療法人社団十二会)のプレスリリース(参照2020.2.12)
平安貴族も戦国武将も 男はみんな「化粧好き」だった|MONO TRENDY|NIKKEI STYLE(参照2020.2.12)
あなたはメイク派?ノーメイク派?化粧とすっぴんを徹底比較!
化粧が好きで楽しい、キレイになれるのが嬉しい。
そんな女性もたくさんいる一方、ノーメイクでいたいと考える人も少なくありません。
双方にはどんな良さがあり、反対にどのような欠点があるのでしょう。
化粧とすっぴんを比較して、互いの理解を深めてください。
化粧をするメリット
まずは化粧をすることの主なメリットを見ていきましょう。
現代のメンズも取り入れたくなる、嬉しい理由がありました。
・ 外見美の向上
見た目を良くするのは、化粧の主な目的ですね。
「第一印象は見た目から」と言うほど、外見が周囲に与える影響は大きいもの。
外見美の向上で周りの評価が上がり、対人関係にもプラスになると考えられます。
・ 気分転換やストレス解消
化粧が好きで進んでやっている、という女性もいるでしょう。
バッチリメイクをすると気分が上がり、背筋がシャキッとすることもあります。
大好きなことをトコトンやり遂げることで、適度なストレス発散に。
見た目だけでなく、精神面にも良い効果が期待できそうです。
化粧をするデメリット
すっぴん派の意見でも聞かれる、化粧をするデメリット。
メイクと上手に付き合うには、欠点も知っておく必要があります。
・ 手間やお金がかかる
最低限の化粧であれば5分程度でできますが、ナチュラルでもきちんと感を出すには10〜20分は要します。
バッチリメイクとなると、30分〜1時間ほどかかる場合も。
下地、ファンデーション、眉ペン、アイシャドウ、リップカラー……。
化粧品が増えれば、かかる出費も増大。
時間もコストも、化粧にそこまでかけたくないと感じる女性もいるのです。
・ 副作用のリスク
化粧品が肌に合わないと、赤みやかゆみといった副作用を起こす恐れが。
メイク落としに必要なクレンジングには、肌に負担をかけやすい成分が含まれています。
使用前に必ずパッチテストを行うなど、化粧品の副作用に注意しなくてはなりません。
すっぴんのメリット
基本的に何も化粧をしない「すっぴん」。
全くメイクをしなくなると、かなりのメリットが得られるようです。
・ 時間やお金に余裕ができる
すっぴんの主なメリットは、化粧にかけるお金と時間をカットできる点です。
化粧を落とす工程や、その後のケアも含めて削減できます。
空いた時間で読書をしたり、浮いたお金で美味しいものを食べたり。
化粧よりも重視することが多ければ、すっぴんで得られる恩恵は大きいでしょう。
・ 楽である
物理的に楽なことはもちろん、化粧をしなくてはならない概念から解放されるので、精神的にもフリーになれます。
メイク崩れを気にしたり、衣服やグラスへの付着を心配する必要もありません。
ありのままを望む人なら、ノーメイクは当然の選択になるでしょう。
すっぴんのデメリット
経済的・精神的にプラスが期待できるすっぴんですが、反対にデメリットはあるのでしょうか。
考えられるマイナスポイントがこちら。
・ 紫外線の影響を受けやすい
化粧は見た目の向上だけでなく、紫外線から皮膚を保護する役目もあります。
すっぴんはその保護がないので、紫外線を直接浴びている状態に。
紫外線は老化の最大要因であり、様々なトラブルの引き金にもなるのです。
外出時は日焼け止めだけでも塗るなど、特に夏場は対策をおすすめします。
・ TPO次第では悪印象に
義務化されてはいないものの、化粧がマナー視されるのも実情です。
ビジネスシーンでは、その風潮がひときわ強くなります。
大切な商談や取引の場面でノーメイクだと、印象の低下に繋がる恐れも。
どこでもかしこでもすっぴん!ではなく、使い分けが大事ですね。
マナーとしての化粧は必要?
社会人として化粧はマナーという見方と、なぜ女性だけに化粧を求めるのか、という意見があります。
女性視点で意見すると、周囲に強いられてまで化粧をしたくありません。
最低限の清潔感、周囲を不快にさせない程度の身だしなみは必要ですが、これは男女ともに共通。
それプラス化粧を求められるのが女性だけ、というのは、確かに違和感を覚えますね。
・ 化粧は自分を表現する手段の1つ
化粧は自己表現の一種である、と考えます。
自分がどうありたいか、どうあるべきかは、時々に応じて変化するもの。
仕事場ではどう装えば良いか、プライベートではどうか。
1人1人が化粧の適宜を考慮し、多様性を受け入れることで、互いに歩み寄れるのではないでしょうか。
戦争時代の社会的役割により、男性がしなくなり女性に残った化粧
大昔は男女ともに化粧をしていましたが、戦争を機に男性の化粧文化が廃れました。
女性にだけ残ったのは、当時の社会的役割や地位が主な理由だったと推測されます。
現代は男性の化粧も認知される一方、女性にだけ化粧をマナー扱いしないで、という声も聞かれるように。
変化する化粧の在り方について、今こそ考えるべきなのかもしれません。
出典
なぜ女性は化粧をしなければならないのか? (2017年8月1日) – エキサイトニュース(参照2020.2.12)
西岡敦子 (2012)「男性の化粧は受け入れられるのか―男性の化粧行動から―」(参照2020.2.12)
化粧から見る男性の美意識の変化 – CORE Reader(参照2020.2.12)
板橋晶子(2009)「戦時下における化粧と「女らしさ」──第二次大戦期アメリカの化粧品広告が描いた女性像──」(参照2020.2.12)PDF